梅毒は脳障害の原因にも

2019年12月04日

梅毒に感染すると、初期の段階であれば感染部位にしこりなどの病変が生じます。その後血液によって全身に運ばれ、臓器の障害を引き起こすようになります。梅毒の症状が進行するとリンパ腺や内臓だけではなく、神経を侵して失明や手足の麻痺などを引き起こす危険性があります。

梅毒に感染すると初期症状(第1期)が出た後に全身にバラ疹(第2期)を発症し、その後に数年~10年にわたり無症状の潜伏期間が続きます。潜伏期間を経て第3期になると、骨・筋肉・皮膚を溶けてゴムのような腫瘍ができます。さらに病気が進行すると第4期に入り、病原体が脊髄や視神経を侵すことで手足の麻痺・失明・脳障害などの重大な障害を発症します。

第3期まで病気が進むと中枢神経に感染が起こるようになり、多くの患者は神経梅毒を発症します。神経梅毒は第3期以降に発症するケースが多いのですが、感染初期の段階(第1期または第2期)でも起こる可能性があります。神経梅毒はHIV感染者に多くみられる症状で、HIV感染者が梅毒に感染をすると発症リスクが高まります。

神経梅毒には早期神経梅毒と晩期梅毒の2種類があります。早期神経梅毒は感染してから数年以内の早い段階で起こり、髄膜炎や眼症状などを発症します。これに対して晩期梅毒は数年~10年以上が経過してから発症し、脳・脊髄・神経などが病原菌に侵されます。この影響で手足の麻痺や、脳が侵されて認知症などの脳障害を発症するようになります。晩期梅毒まで進むと脳障害を起こすようになり、治療をしなければ死に至ります。

現在は晩期梅毒まで病気が進行するケースは稀ですが、ペニシリンが発見される以前は多くの人が梅毒で認知症や精神障害などの脳障害を発症して命を落としていました。現在は抗生物質で完治させることが可能ですが、治療を開始する前に病原菌が中枢神経を侵して何らかの障害を発症する場合があります。抗生物質で病原菌を死滅させた後も聴力や視力障害は回復することがないので、治療が可能な現代でも恐ろしい病気であることに変わりがありません。

梅毒は初期の症状が少ないので感染していることに気づきにくく、早期発見が難しい病気のひとつです。症状が出ていない初期の段階でも病原体が中枢神経を侵すので、早期発見・早期治療が非常に大切です。梅毒とHIVはいずれも性行為によって感染をする伝染病で、両方に感染をしているケースは少なくありません。エイズが出現した現代は、HIVウイルスと同時に感染をすることで昔よりも神経梅毒を発症するリスクが高いので注意が必要です。

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