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色々な薬のケース

梅毒は江戸時代の日本で遊郭を中心に流行し、多くの人が命を落とした性病のひとつです。現在は抗生物質を用いて治療をすれば完治させることができるので、過去の病気と思われがちです。ところが近年、日本国内では30代以降の男性や20代の女性の間で患者が急増しています。今は抗生物質を内服するだけで完治させることができますが、症状に気がつかずに放置すると失明などの後遺障害が残ったり命にかかわる危険な病気です。梅毒に感染したら、早期に発見して治療を開始することが大切です。

自分が感染拡大の犯人になってしまうかも

梅毒は病原菌によって引き起こされる病気なので、他の人にうつしてしまうことがあります。症状が出ていなくても感染させる可能性があるので、気づかない間に自分が感染拡大の犯人になってしまう恐れがあります。初期症状が出た際にも伝染病であることに気づかずに放置される場合が多く、その間にも他の人にうつしてしまうというケースが非常に多いです。
感染してからしばらくの間は痛みや痒みなどを感じることがありませんが、この間にも他の人に病原菌を移すことが可能な状態になります。本人が気づかない間に性的接触やその他の経路で他の人に伝染させてしまう場合があり、身近な人や恋人に感染させてしまう恐れがあります。病原菌に感染した直後は病原菌は皮膚や粘膜などの限られた場所にしか存在しませんが、他の人が感染部位に触れてしまうだけでうつしてしまう場合があります。例えば、誰かとキスをした際に口の粘膜に病原菌が感染させられてしまった場合に、別の人とキスをするだけでもその相手にも病気をうつしてしまうことになります。
この病気にはさまざまな感染経路がありますが、最も多いのは男性・女性ともに性的な接触です。複数の相手と性行為をしたりキスなどをすることで、簡単に感染が拡大してしまう恐れがあります。もしも性風俗関連の仕事をしている女性が感染すると、その女性が相手をした男性客に病気がうつってしまいます。逆に感染者の男性客が複数の性的なサービスを提供する店を利用することでも、相手をした全ての女性に対して感染を拡大させてしまう恐れがあります。
性病は連鎖的に起こることで多くの人に爆発的に感染させてしまうので、自分では気がつかない間に感染拡大の犯人になってしまう可能性があります。性的な接触を通して感染が拡大してしまうので、『パートナーへ感染するリスク』が非常に高い病気といえます。大切な恋人や配偶者に対して、感染をさせてしまう恐れがあります。
無症状の潜伏期間や治療中でも他の人に病原菌を感染させてしまう恐れがあり、完全に完治するまでの間は性的な接触を避ける必要があります。知らない間に自分が加害者にならないためには、早期に発見して適切な治療を受けたり性的な接触を避けることが必須です。これに加えて、ひとりひとりが病気についての正しい知識を持つことも大切です。

一回のセックスでも感染の可能性

梅毒の特徴は他の性病と比較して、感染力が非常に強いことです。例えばHIVウイルスによって起こるエイズは死に至る病気として恐れられていますが、感染をする可能性が低いという特徴があります。1回の性行為でHIVウイルスに感染する確率は、0.1~1%くらいです。これに対して梅毒トレポネーマの場合は、たった1回の性交でも30%以上の確率で感染します。単純に感染確率だけを比較すると、HIVウイルスよりも30~300倍も感染力が強いことを意味します。
梅毒は感染初期の段階では、病原菌は主に感染した部位(感染者に接触をした皮膚や粘膜)にしか含まれていません。ところが感染してから数ヶ月が経過すると血液によって全身に病原菌が運ばれ、性器・肛門・口腔内の粘膜や体液・分泌液中にも病原菌が含まれるようになります。全身に病原菌が運ばれてしまうと、感染者の血液・体液や粘膜にも病原体が含まれるようになります。
初期症状として感染後1~3週間後に感染部位に下疳(げかん)とよばれるしこりができますが、痛みなどの自覚症状はありません。性行為によって感染した場合には、陰部・口唇部・口腔内・肛門などにしこりができます。この段階で既に他の人にうつしてしまう可能性があり、他の人がこれらの部位に触れるだけで容易に感染してしまいます。
初期症状は数週間程度で治まり、しこりは消失します。この間に病原菌が血液を通して全身に運ばれ、3ヶ月かそれ以上が経過すると全身の皮膚に赤い発疹ができます。赤い発疹はバラ疹(ばらしん)と呼ばれ、この段階になると患者の血液や体液にも病原菌が含まれるようになります。他の人が病原体が含まれた体液などの感染源に触れると感染をする恐れがあります。ちなみにエイズの場合は、健康な人がHIVウイルスが含まれた体液に触れる程度で感染をすることはありません。

感染初期に性器などにできるしこりに触れるだけでも感染させてしまうので、たった1回のセックスでも他の人にうつしてしまいます。病原菌が血液によって全身に運ばれてしまうと患者の体液に触れたコップを通して感染させてしまう恐れもあり、性的な接触をしていない人にも病気をうつしてしまう場合があります。他の性病と比較して感染力が非常に強い上に感染経路が多いため、病気を放置すると爆発的に感染が拡大してしまいます。

自覚症状が少ないので定期的な検査を

梅毒の特徴は感染力が非常に強いことで、性行為や他の感染経路で容易に他の人にうつしてしまう恐れがあります。感染力が強いことに加えて、自覚症状が少ないので発症しても気づきにくいという特徴もあります。感染してから1~3週間程度でしこりなどの初期症状(第1期)が出ますが、痛みや痒みなどを感じることはありません。
初期症状が出てから放置し続けたとしても、感染部位にできるしこりは自然に消滅してしまいます。数ヶ月が経過すると第2期に入り、病原菌が血液に入って全身に運ばれて手足なども含めて全身に赤い湿疹ができます。この段階でも、痛みや痒みなどを感じることがありません。治療をしなくても自然に消えてしまう場合があり、気づかずに放置してしまう恐れがあります。
第2期まで進むと消化器官や肝臓などの臓器が障害を受けるケースがあり、一時的に発熱・食欲不振・体重減少・疲労感・黄疸などがあらわれる場合があります。ただしこのまま放置しても自然に消失し、以後数年~数十年間にわたり無症状の潜伏期に入ります。
長い潜伏期を経てから第3期に入り、全身にゴムのような腫瘤ができます。循環器や神経が侵されることで、胸痛・心不全・認知症に似た精神障害・麻痺などが起こります。第3期まで進むと死に至る場合があります。

『自覚症状が少ない梅毒』は気づきにくいため、治療開始が遅れたり他の人に感染させる危険性があります。病気の進行により治療期間の長さが異なり、初期の段階(第1期)であれば2~4週間で完治させることができます。第2期まで進むと完治までに4~8週間、第3期以降になると8~12週間もかかってしまいます。第2期以降になると2~3ヶ月間にわたり抗生物質を飲み続ける必要があり、長期間にわたり薬の副作用の影響を受ける場合も少なくありません。第3期まで進行してしまうと、完治後も骨や軟骨が溶けたり神経の障害が残ってしまいます。
梅毒は症状が進むと服薬期間が長くなり、長期間にわたり薬を服用し続けたり性行為ができなくなります。そのため、早期に発見して『早めの治療を』する必要があります。早期発見のためには、検査を受けることが大切です。梅毒は病気が進むまで気づきにくいので、性的な接触の機会が多い人は定期的に検査を受けるようにしましょう。